臨床現場において、汗疹はその閉塞深度と炎症の有無によって主に2つの病型に分類されます。適切な治療法を選択するためには、まず患部の状態がどちらに該当するのかを正確に把握しなければなりません。
日常的に最も遭遇頻度が高く、深刻な痒みと痛みを伴うのが紅色汗疹(こうしょくかんしん)です。一方で、痛みも痒みも伴わずに突如現れる水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)も存在し、両者の病態は明確に異なります。以下の通り、赤いあせもと白いあせもの違いを整理しました。
- 白いあせも(水晶様汗疹):皮膚の極めて浅い角層内で汗管が詰まることで発生。直径1mm前後の透明な微小水泡が密集して出現するが、赤みや痒みなどの炎症症状はほぼ皆無。日焼け後や発熱時に一時的に多発する傾向があり、皮膚の摩擦を避けて清潔を保てば、薬を用いずとも2〜3日で自然に角質ごと落屑して治癒する。
- 赤いあせも(紅色汗疹):表皮有棘層から真皮浅層というやや深いレベルで汗管が破裂し、組織内に汗が漏洩することで発症。周囲に紅斑を伴う赤い丘疹(ポツポツ)が無数に生じ、耐え難い痒み、ピリピリとした刺痛、熱感を帯びる。成人の背中、胸元、太もも、下着のゴムバンドの締め付け部位に好発し、積極的な抗炎症治療を行わなければ自然治癒は困難。
また、成人の紅色汗疹は他の皮膚疾患と酷似している点に注意が必要です。顔面や首元にできた場合は「大人ニキビ(尋常性痤瘡)」、毛穴に一致して中心に膿を持つ場合は真菌が関与する「マラセチア毛包炎」、化粧品や金属が触れた部位に一致する場合は「接触皮膚炎(かぶれ)」の可能性を疑う必要があります。これらはあせもとは治療アプローチが根本から異なるため、誤った外用薬を使用すると病状を劇的に悪化させる引き金となります。