学校事務の離職理由として、給与や業務量以上に上位へ挙がるのが「職員室内の人間関係と特有の孤立感」です。学校という組織は一般企業とは根本的に異なる力学で動いており、この環境に適応できずに精神的消耗を強いられるケースが頻発しています。
1. 教員と事務職員の間に横たわる「見えないカースト」
学校現場における主役は、授業と生徒指導を直接担当する教員です。学校教育法上でも、教頭や主幹教諭、教諭が教育活動の中核を担い、事務職員は「事務を掌る(またはつかさどる)」と規定されていることから、職員室内に無意識のヒエラルキーが形成されやすい土壌があります。 一部の多忙な教員からは「事務員は子供を教えていないのだから、雑用を引き受けて当然」「書類の提出期限を守らなくても、事務が勝手に合わせておけばいい」といった扱いを受ける場面も報告されています。一方で、コンプライアンスや公金管理の観点から教員に書類の再提出や領収書の催促をしなければならない事務職員は、「教員から煙たがられる監査役」のような損な役回りを演じることを余儀なくされます。
2. 心理的安全性の低い「閉鎖的村社会」
学校の職員室は、外界から遮断された極めて狭い空間です。民間企業のように人事部へハラスメントを通報して迅速に異動できるわけでもなく、校長や教頭といった管理職のマネジメント能力に組織の雰囲気が全依存します。 管理職が事務手続きに疎い場合、事務職員が抱える苦悩を理解してもらえず、教員との板挟みになって孤立を深めるケースが目立ちます。「職員室に30人の教員がいて、事務職員は自分1人。誰とも対等に悩みを共有できない」という環境は、人間関係のトラブルが発生した際に逃げ場を完全に奪うことになります。