「きび砂糖は体に良い」という言説の根拠はどこにあるのでしょうか。公的な栄養成分データと代謝科学の観点から冷静に分析します。
文部科学省「日本食品標準成分表」や製糖各社の分析値を見ると、きび砂糖のミネラル量は上白糖を圧倒しています。特に余分なナトリウムの排出を助けるカリウムは、上白糖が100gあたり2mg程度であるのに対し、きび砂糖には約140〜160mgと70倍以上含まれています。さらに、骨の形成に欠かせないカルシウムやマグネシウムも微量ながらバランスよく存在します。
しかし、過信は禁物です。100gあたりの熱量を比較すると、上白糖の391kcalに対し、きび砂糖は約396kcal。糖分としての純度差による微小な数値の揺らぎはあるものの、カロリー面において両者に実質的な差はありません。「きび砂糖だから太らない」という考えは完全に誤りです。
また、食後血糖値の上昇度合いを示すGI値(グリセミック・インデックス)については、上白糖が約109(基準値に対する高GI)とされるのに対し、きび砂糖は中GI領域(約65〜70前後)に位置すると報告されています。ミネラルや微量成分を含むぶん、小腸での吸収スピードは白砂糖より緩やかですが、主成分はあくまでもショ糖です。摂りすぎれば当然ながらインスリンの過剰分泌や中性脂肪の蓄積につながります。
きび砂糖が体に良いとされる真の理由は、大量のミネラルを補給できる点にあるのではなく、精製度を抑えた自然な甘味とコクにより、少量でも高い満足感が得られ、結果として糖分の過剰摂取を抑制しやすい心理的・味覚的効果にあるといえます。