「まさか書類を取り寄せるだけで1カ月以上も待たされるとは思わなかった」——都内在住の行政書士は、外国人登録原票を巡る現場の過酷さを語ります。相続や帰化を専門に扱う士業のオフィスには、自身で手続きを進めようとして暗礁に乗り上げた当事者からのSOSが絶えません。
実務の現場で特に問題視されているのが「行政の審査期間と相続期限のタイムラグ」です。日本の相続税法上、相続税の申告・納税義務は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内」と厳格に定められています。さらに相続放棄の期限は「3カ月以内」です。しかし、被相続人の過去の資産を調査する段階で原票が必要になり、そこから開示請求を行うと、手元に書類が届くまでに丸1カ月を費やしてしまいます。
取材に応じた実務家によると、近年の開示請求件数の高止まりや法務審査の厳格化に伴い、出入国在留管理庁から「開示決定等期限延長通知書」が届く例が増加しています。法定の30日以内に決定が下りず、最大でさらに30日延長される事態が発生すると、手元に届くまでに2カ月近くを要する計算になります。
さらにSNSや相談掲示板では、「同封した返信切手の金額が不足していて書類の発送がストップした」「通称名の記載漏れで対象の原票が特定できず、補正指示のやり取りで2週間を浪費した」といった初歩的なミスに起因する遅延が多数報告されています。入管庁の担当部署は窓口での口頭相談を基本的に受け付けておらず、やり取りがすべて郵送ベースとなるため、一度の記載ミスが致命的なスケジュール破綻を招く構造になっています。