エンジン内部で何が起きているのかを理解するには、燃料が燃焼する過酷な環境に目を向ける必要があります。ガソリンが爆発を繰り返す燃焼室内は数百度から千数百度の超高温に達し、不完全燃焼した炭化水素が吸気バルブの傘部やピストン冠面、燃料を噴射するインジェクターの微細なノズル先端に頑固な「デポジット(スラッジやカーボン)」として焼き付きます。
この堆積物はスポンジのようにガソリンを吸い寄せて混合気の比率を狂わせ、インジェクターのスプレーパターンを歪ませて不均一な燃焼を引き起こします。結果としてアイドリングの不整脈、加速時の息継ぎ、燃費の悪化を招くわけです。この頑固な炭素化合物を化学的に分解・除去する主役が、現代の高性能清浄剤の中核を担うPEA(ポリエーテルアミン)です。
かつて主流だったポリイソブテンアミン(PIBA)などの旧世代清浄成分は、吸気バルブ付近の比較的低温な領域(約150℃前後)では機能するものの、ピストン頂部や燃焼室内のような300℃を超える極限領域に入ると、自らも熱分解して蒸発・消失してしまっていました。対してPEAは極めて高い耐熱性を誇り、過酷な燃焼室内に到達しても分解されずにカーボンの分子構造へ浸透します。強固に固着したデポジットを軟化・膨潤させて少しずつ剥離させ、最終的に通常の混合気とともに燃焼室で焼き尽くしてマフラーから無害なガスとして排出させるのです。
エンジン内部洗浄デポジット除去の効果を内視鏡スコープで追跡した整備工場の検証データでは、走行7万キロを超えた車両にPEA高濃度配合の添加剤を2回連続投与した結果、真っ黒に覆われていたピストンヘッドの刻印が視認できるレベルまで金属地肌が露出した事例が多数報告されています。ガソリン添加剤による燃費改善効果の真相は、まさにこの「狂ってしまった燃料噴霧パターンと圧縮比の正常化」による燃焼効率のリセットにあると言えます。