法的な違反や身体的ダメージに加えて、当事者を絶望の淵に突き落とすのが「保険金の減額・不払い問題」です。自賠責保険と任意保険の適用対象について、多くのドライバーが致命的な誤解を抱いています。
交通事故の被害者救済を目的とした「自賠責保険(自動車損害賠償保障法)」においては、違法な荷台乗車であっても原則として対人賠償の請求対象には含まれます。しかし、問題は実際の補償額を左右する過失相殺(かしつそうさい)の割合です。
民事判例上、「シートベルトのない荷台という極めて危険な場所に自らの意思で乗車した」という事実は、被害者側の重大な過失として厳しく評価されます。過去の裁判例を見ても、荷台から転落して死亡または重度後遺障害を負った事故において、同乗者側に20%から最大50%もの過失割合が認定された事例が複数存在します。仮に損害賠償額が1億円と算定されても、過失割合が40%であれば受け取れる賠償額は6,000万円にまで削り取られてしまうのです。
さらに、運転者が加入している「任意保険」では、約款の免責条項に抵触する恐れがあります。看守目的を逸脱した違法な同乗運行と認定された場合、搭乗者傷害保険や人身傷害補償特約において、「著しい過失」または「故意・重過失による損害」として保険金の支払いが拒絶されたり、大幅に減額されたりする法的手続き上の泥沼に巻き込まれるリスクを孕んでいます。