SVリーグのホームゲーム会場を訪れると、そこにはタイ代表選手たちが日本の観客を瞬時に虜にしてしまう独特の熱気が満ちています。ファンがSNSや掲示板で寄せる声を見ても、「プレーのキレが異次元」「どんなピンチでもコート上で笑顔を絶やさず、見ているこちらまで元気になる」といった賛辞が後を絶ちません。
ネット検索ではタイ女子バレーかわいい選手といった親しみやすさを起点とするワードが飛び交いますが、現場の記者席から見る彼女たちの実態は、極めてストイックなアスリートそのものです。試合前のウォーミングアップで見せる体幹トレーニングの厳しさや、戦術ボードを見つめるチャチュオンやピンピチャヤの鋭利な視線には、勝負師としての凄みが宿っています。
関係者への取材で見えてきたタイ代表スピードバレーの真相は、単に「トスを速く回す」ことではありません。その本質は、「相手ブロッカーの視線を誘導するオフ・ザ・ボールの動きの連動性」にあります。1990年代後半から中国の指導者を招いて土台を築き、そこにタイ人特有の柔軟性とジャンプ力を組み込んだ彼女たちのバレーは、セッターにボールが入るコンマ数秒前、前衛・後衛の4名全員が同時にトップスピードで助走を開始します。相手ブロックは的を絞り切れず、ノーマークに近い状態で叩き込まれるパイプ攻撃。この戦術的必然性こそが、タイバレーの恐ろしさです。