双極性障害は母親の育て方が原因?遺伝と脳の最新医学で暴く真相

双極性障害は母親の育て方が原因?遺伝と脳の最新医学で暴く真相

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結論から明確に述べると、双極性障害の発症原因が母親の育て方や愛情不足にあるとする医学的根拠は一切存在しません。日本うつ病学会の診療ガイドラインをはじめ、米国精神医学会の診断基準(DSM-5-TR)に準拠する世界の主要な臨床研究において、特定の養育スタイルが双極性障害を直接引き起こすという仮説は完全に否定されています。

現代の精神医学における共通認識として、双極性障害の本質は脳の機能障害と神経伝達物質の調節不全にあります。気分や意欲を司るセロトニン、ドパミン、ノルアドレナリンといったモノアミン系神経伝達物質の受容体機能異常、ならびに脳細胞内のカルシウムシグナル伝達系やミトコンドリア機能の異常が複雑に絡み合っていることが近年の分子生物学的研究で判明しています。

感情のコントロールを担う前頭前野や、情動の発生源である扁桃体を中心とした神経ネットワークの連結性に機能的な変調が生じることで、躁状態とうつ状態という極端な気分の波が出現します。つまり、双極性障害は高血圧や糖尿病と同じ「身体的・生物学的な疾患」であり、母親のしつけの厳しさや抱きしめた時間の多寡によって左右される性質のものではありません。まずは「自分の育て方が子どもの脳を壊したのではないか」という根拠のない自責を手放すことが、回復への第一歩となります。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。