インターネット上の教育フォーラムなどで散見される最大の誤解が、「九九を完璧に暗唱できていれば、割り算の筆算でつまずくはずがない」という言説です。断言しますが、これは明確な誤りです。
もちろん九九は必須の前提条件ですが、筆算で求められる処理は単なる九九の再生ではありません。「2桁の数を丸めておおよその数(概数)として把握する直観力」や、「計算用紙の中で数値を垂直・水平に整然と配置するワーキングメモリ」は、九九の反復練習とは全く別の脳機能を使っています。
もう一つの危険な誤解が、「計算ドリルを何十ページも解かせれば自然と身につく」という量頼みの学習法です。解き方の手順(アルゴリズム)と位取りの意味が腑に落ちていない段階で反復練習を強制すると、子どもは「間違った手順」を反復して脳に定着させてしまいます。解けないドリルを何時間もやらせることは、苦手意識を強化する以外の効果を生みません。