核家族という概念は、アメリカの人類学者であるジョージ・マードック(G.P. Murdock)が1949年の著書『社会構造論(Social Structure)』で提唱した「nuclear family」に由来します。マードックは世界各地の数百に及ぶ社会構造を分析する中で、あらゆる家族形態の根底にある最も普遍的かつ最小限の基本単位としてこの概念を位置づけました。
日本の厚生労働省や総務省の統計調査において、核家族の定義は極めて厳密に定められています。具体的には、以下の3つの世帯類型のみを指します。
- 夫婦のみの世帯(子どものいない夫婦、あるいは子どもがすでに独立・別居した夫婦)
- 夫婦と未婚の子どもの世帯(いわゆる標準的な両親+未婚の実子・養子の家庭)
- ひとり親と子供の世帯(父親または母親のいずれか一方と、未婚の子どもからなる世帯)
ここで重要なのは、拡大家族との違いです。拡大家族(extended family)とは、核家族にそれ以外の親族(祖父母、おじ、おば、孫、既婚の子どもとその配偶者など)が同居して生活を共にする形態を指します。昔の農村部に典型だった「親・子・孫の直系三世代同居」や、兄弟夫婦が同じ屋根の下で暮らす複合家族は、すべて拡大家族に分類されます。
大衆的なアニメ作品に例えるなら、『サザエさん』の磯野家(波平・フネ、マスオ・サザエ、カツオ・ワカメ・タラオが同居)や『ちびまる子ちゃん』のさくら家(友蔵・こたけ、ヒロシ・すみれ、さきこ・まる子が同居)は典型的な拡大家族です。一方で、『クレヨンしんちゃん』の野原家(ひろし・みさえ、しんのすけ・ひまわり)こそが、教科書通りの核家族に該当します。