めまいを訴える患者の多くが「耳鳴り」や「後頭部の重さ」を同時に抱えています。この複合的な不調を引き起こす核心には、自律神経のバランス崩壊と血流不全の悪循環が存在します。
内耳の奥にある三半規管(回転を感知)と耳石器(重力・直線加速度を感知)は、極めて細い「内耳動脈」によってのみ栄養と酸素を供給されています。過度な精神的ストレスや不規則な睡眠によって交感神経が暴走すると、末梢血管が激しく収縮し、内耳への血流が一気に途絶します。これにより平衡感覚センサーが誤作動を起こし、周囲が回っていないにもかかわらず脳が「揺れている」と誤認するのです。
また、近年の臨床現場で特に注目されているのが、首の奥深くにあるインナーマッスル「後頭下筋群」の過度な拘縮による頸性(けいせい)めまいです。後頭下筋群には、身体の空間位置を把握するための固有受容器(プロプリオセプター)が全身で最も高密度に密集しています。デスクワークやスマホの凝視によってこの筋肉がカチカチに固まると、固有受容器から脳へ送られる位置情報と、目や耳からの情報に不一致が生じ、ふわふわとした雲の上を歩くような感覚が生じます。
さらに若年層から働き盛り世代にかけて急増しているのが起立性調節障害です。立ち上がった際に下半身の血管を収縮させて血圧を維持する交感神経機能が低下し、一時的な脳虚血と激しい立ちくらみを引き起こします。ツボ刺激によってこれらの症状が改善する理由は、皮膚や筋肉に点在する神経終末を刺激することで反射弓を介して迷走神経を賦活させ、硬直した毛細血管を強制的に拡張して脳幹・内耳の低酸素状態をリセットできるからです。