関節可動域(Range of Motion: ROM)は、関節が本来生理的に動くことのできる角度を示した医学的指標です。日本整形外科学会および日本リハビリテーション医学会が定めた測定指針において、肩関節は複数の方向ごとに詳細な参考可動域が設定されています。臨床現場では、患者が自力で動かす「自動可動域」と、検者が力を添えて動かす「他動可動域」の差を厳格に評価します。
正確な肩関節可動域測定方法では、角度計(ゴニオメーター)を当てる際、体幹がねじれたり腰が反ったりする代償運動をいかに抑えるかが最大のポイントです。以下に、主要な運動方向における参考可動域と、測定時の軸設定を整理しました。
肩を頭上まで真っ直ぐ上げるには、肩関節屈曲伸展角度の基準である180°の達成が求められます。しかし、この180°という動きは肩甲上腕関節(腕の骨と肩甲骨の受け皿)だけで作られているわけではありません。腕を動かす際には、肩甲骨が胸郭の上を滑るように連動する肩甲胸郭関節の動きが不可欠であり、この「肩甲上腕リズム(腕が2度上がると肩甲骨が1度上方回旋する協調関係)」が乱れると、数値上の可動域は保たれていても関節内部で激しい摩擦や衝突が生じます。