感情論や恐怖心だけに振り回されないためには、日本産科婦人科学会などの公式診療ガイドラインが示す客観的なデータを知ることが不可欠です。低用量ピルの服用によって、血栓症のリスクはどの程度跳ね上がるのでしょうか。
健康な非妊娠女性が静脈血栓塞栓症(VTE)を発症する頻度は年間1万人あたり約1〜5人とされています。これに対し、低用量ピルを服用している女性の発症率は年間1万人あたり約3〜9人へと上昇します。数値の上では約3倍から数倍のリスク上昇ですが、妊娠中の発症率(年間1万人あたり5〜20人)や産褥期(年間1万人あたり40〜65人)と比較すれば、絶対的な確率自体は決して高いものではありません。
しかし、発症した際の重篤性や後遺症リスクを考慮すると、確率の低さに甘んじることは禁物です。医療機関で血栓症の疑いをスクリーニングする際には、血液中の血栓形成と融解を示すピル服用時の血液検査における「Dダイマー値」が極めて重要な診断指標となります。