ネット上や鮮魚売り場のポップで目にする「ホンビノス貝は砂抜き不要」というフレーズ。この情報の真偽をめぐっては、家庭の料理人の間で長年議論が交わされてきました。結論から述べると、生物学的な観点においてホンビノス貝砂抜き不要の真相は事実です。
アサリのように砂泥の中に深く潜って吸水管から大量の砂を吸い込む貝とは異なり、ホンビノス貝は海底の表面近くに鎮座し、泥底の浅い層に生息しています。千葉県水産総合研究センターなどの調査知見でも示されている通り、体内に砂を溜め込む構造をそもそも持っていません。そのため、アサリで行うような「塩水に数時間浸けて暗所で砂を吐かせる」という長時間の工程は原理的に省くことができます。
しかし、ここで最大の落とし穴が存在します。砂抜きが不要だからといって、パックから取り出してそのまま酒蒸しにしてしまうと、高確率で「塩辛すぎて食べられない」という悲劇が起こります。原因は、貝の内部に強烈な塩分濃度の海水を含んでいるためです。必要なのは砂抜きではなく、正しいホンビノス貝塩抜きやり方と表面の汚れ落としです。
具体的なホンビノス貝下処理方法の手順は極めてシンプルです。まず、貝同士を擦り合わせながら流水で殻の表面に付着した泥や汚れをタワシなどで念入りに洗い流します。その後、水道水(真水)を張ったボウルに15〜30分ほど浸しておくだけで十分です。真水に浸けることで貝が驚いて口をわずかに緩め、体内に溜め込んでいた塩辛い海水を一気に吐き出します。浸けすぎると貝が窒息して旨味が逃げるため、30分以内にとどめるのがプロの鉄則です。