ファンコイルユニットとは、その名称が示す通り「送風機(ファン)」と「熱交換器(コイル)」を1つのケーシング内にコンパクトにまとめた空調端末です。構造そのものは非常にシンプルですが、一般的なエアコンとの最大の違いは、機器内部を流れる流体が「フロン冷媒」ではなく「水(冷水または温水)」である点にあります。
一般社団法人日本冷凍空調工業会の製品基準によると、ファンコイルユニットのケーシングには鋼板が用いられ、結露防止や遮音のためにグラスウールなどの断熱材が裏張りされています。内部には銅管にアルミフィンを取り付けた熱交換器(コイル)、両吸込多翼型送風機(シロッコファンが1〜4個)、空気清浄用の簡易フィルター、ドレンパン(結露水受け皿)、そして水量を制御する電動二方弁や三方弁が収められています。風量はスイッチにより強・中・弱の3段階で切り替える方式が主流です。
ファンコイルユニットが機能するためには、地下の機械室や屋上などに設置された大型熱源設備(チラー、吸収式冷温水機、ボイラー、ヒートポンプなど)が欠かせません。セントラル空調(中央方式空調システム)の熱源で作られた約7℃の冷水や約45〜60℃の温水が、建物の壁内や天井内を張り巡る「冷温水配管」を通って各フロアのFCUに送り込まれます。室内のファンが空気を吸い込み、冷たい(あるいは温かい)水が通るコイルを通過させることで温度を変え、吹き出し口から室内に供給する仕組みです。
室内側にはフロン冷媒が一切入ってこないため、冷媒配管の破損による中毒・窒息リスクを完全に排除できる点が、建物の安全設計上きわめて大きな意味を持っています。