第42話「理非」の主軸となったのは、満身創痍の1級呪術師・七海建人の壮烈な幕引きでした。特級呪霊・陀艮との激闘、そして直後に襲来した漏瑚の猛火によって身体の半分を無残に焼かれながらも、七海は朦朧とする意識の中で地下通路を歩み続けます。
群がる大量の改造人間を、機械的なまでに洗練された太刀筋で次々と祓っていく七海。その胸中に去来していたのは、呪術師としての重責でも死への恐怖でもなく、「マレーシアのクアンタンへ行こう」「誰もいない海辺に家を建て、買い溜めた本を読もう」という、あまりにもささやかで人間らしい引退後の夢でした。
しかし、無慈悲な現実は彼に安息を許しません。背後に現れたのは、魂に触れる特級呪霊・真人。七海の胸元に置かれた真人の掌、そしてそこに駆けつけた愛弟子・虎杖悠仁の姿。七海はかつて非業の死を遂げた高専時代の同期・灰原雄の幻影を目撃します。
灰原が指さす先には虎杖がいる。しかし七海は、自身の言葉が虎杖を縛る「呪い」になってしまうことを恐れ、一度は口を噤もうとします。それでも最期に、穏やかな笑みを浮かべて放った一言が「虎杖君、あとは頼みます」でした。直後、真人の「無為転変」が発動し、七海の上半身は弾け飛び、絶命。目の前で恩師を惨殺された虎杖の絶叫が地下通路に木霊しました。