1945年8月の敗戦直後、日本国内は復員兵や引揚者であふれ、治安機能が著しく低下していました。生きるために闇市や買い出しに頼らざるを得ない極限状態のなか、1945年から1946年にかけて都内および近郊の山林で若い女性の変死体が相次いで発見されます。
これが世に言う小平事件です。犯行の残虐性と手口の狡猾さから、当時のメディアは大きく報道し、戦後三大殺人事件や昭和を代表する戦後猟奇殺人事件の一つとして国民に強烈なトラウマを植え付けました。
被害者はいずれも、生活のために必死に働こうとしていた10代後半から30代の女性たちでした。平穏な日常を取り戻そうとする人々の弱みにつけ込んだ犯行手口は、混乱期の社会不安を一気に頂点へと押し上げました。