物語のクライマックスにおける最終決戦において、「ワン・フォー・オール」は死柄木吊への精神攻撃・救済の手段として譲渡され、その役割を終えたかのように見えた。だが、堀越耕平が描いた結末は、単なる能力の消失では終わらない。
「誰もが誰かのヒーローになれる」というテーマの帰結として、出久が手にしたのは能力そのものではなく、全人類が共有する「助け合いの意志」だった。原作ラストに散りばめられた伏線は、能力依存の社会から脱却し、一人ひとりが他者に手を差し伸べる社会への変容を示唆している。これこそが、ワン・フォー・オールという名称に込められた究極の回答と言えるだろう。