グラウンドで見せる鋭い眼光や時に厳しい表情とは対照的に、自宅での阿部慎之助監督は誰もが認める穏やかな愛妻家である。遠征先から戻ると真っ先に妻への感謝を口にし、オフの日には自ら厨房に立って家族に料理を振る舞うこともある。長年連れ添う中で、妻の体調や変化には誰よりも敏感で、密かに心尽くしのプレゼントを贈るなど細やかな気配りを欠かさない。
家庭内で共有される秘話の中には、過酷なペナントレース中に敗戦のショックを抱えて帰宅した夫を、妻が温かい手料理と何気ない日常の会話で包み込んだエピソードが残る。グラウンドでの苦悩や葛藤を家庭に持ち込ませないよう、静かに寄り添い続ける妻の配慮こそが、指揮官としての強いメンタリティーを磨き上げた要因だ。