台湾情勢を語る上で避けて通れないのが、1979年に米議会が制定した「台湾関係法(Taiwan Relations Act)」の存在です。この法律は、米台間に正式な同盟関係がない状態でも、台湾が十分な自己防衛能力を維持できるよう防衛装備品を提供することを義務付けています。
ただし、日米安全保障条約第5条のように「武力攻撃に対する自動参戦」を義務付けているわけではありません。米国政府は長年、台湾有事の際に軍事介入するか否かをあえて明確にしない「戦略的曖昧さ(Strategic Ambiguity)」を採用してきました。
それでも歴代米政権の発言や近年の防衛権限法(NDAA)の拡充を見る限り、抑止の姿勢は年々明確化しています。有事の際、米軍が直ちに地上軍を大規模派遣するハードルは高いものの、航空・海上戦力による補給路確保、宇宙・サイバー空間での情報支援、スタンドオフミサイルによる精密打撃など、多次元での実質的介入が行われる可能性は極めて濃厚と分析されています。