この名シーンを指揮したのは、言わずと知れた名監督ビリー・ワイルダーだ。鋭い人間観察と洒脱なセリフ回しで知られる彼は、観客が何に心を奪われるかを熟知していた。配給を手掛けた20世紀フォックスもまた、この一瞬のビジュアルが持つ絶大なマーケティング価値を見抜いていた。
実は、街頭ロケで撮影された映像は群衆のノイズがあまりにも大きく、最終的な本編にはスタジオのセットで再撮影されたカットが採用されている。完璧主義者として知られる監督とスタジオのこだわりが、映画史に永遠に残るロマンティック・コメディの黄金カットを完成させたのだった。