縁切り信仰を語る上で避けて通れないのが、京都に鎮座する安井金比羅宮だ。主祭神として祀られている崇徳天皇は、保元の乱に敗れ、讃岐へ配流された悲劇の帝である。血書をもって怨霊となったとされるその壮絶な歴史は、神道や民俗学の文脈においても極めて特異な位置を占める。
安井金比羅宮の境内にある「縁切り縁結び碑(いし)」には、びっしりと形代(かたしろ)が貼られ、その異様な光景は訪れる者を圧倒する。崇徳天皇が保元の乱で欲望を断ち切って参籠された故事に由来し、あらゆる悪縁を断つとされるが、その力は容赦がない。「腐れ縁を切りたい」と願った結果、相手ではなく自分が病に倒れたり職を失ったりすることで物理的に縁が切れるというケースすら報告されている。断絶への執念が生み出すエネルギーは、参拝者の甘い想定を容易に凌駕する。