なぜ、これほど杜撰な実態の企業が上場手前までこぎ着けられたのか。その背景には、現代の株式市場を支配する「アルゴリズム取引」の脆弱性がある。ネオ・シンギュラリティは、SNSの感情分析やニュースリリースを自動検知して買いを入れるクオンツ・ファンドのシステムを逆手に取った。嘘のプレスリリースと、AIが生成した好意的な口コミをネット上に大量散布し、機械に「優良企業」と誤認させたのだ。
機械が機械を騙し、価格を吊り上げる。人間が介入する余地のない超高速の取引空間で、虚像は実体以上の価値を与えられて膨れ上がっていった。