彼の作品を語る上で欠かせないのが、徹底されたアートディレクションである。画面内の色彩設計、衣装、小道具の配置に至るまで、すべての要素が計算し尽くされている。特に際立つのは「光」と「影」のコントラストだ。明るい照明で被写体を無邪気に照らし出すのではなく、影の中に佇む人間の揺らぎや質感を色濃く浮かび上がらせる。
この影の美学こそが、作品に言いようのない深みと映画的な品格を与える。実写フィルムが持つ粒状感をあえて残すような質調へのこだわりや、スローモーションを効果的に用いた時の流れの再構築など、細部への情熱は他の追随を許さない。