伊丹十三監督の真骨頂は、綿密な取材に基づくリアリズムにある。当時、秘密のベールに包まれていた国税局査察部の内部事情や、ガサ入れの具体的な手順、ガソリンスタンドやパチンコ店、ホテル業界で行われていた巧妙な売上ごまかしのトリックなどを完璧にリサーチして映像化した。
驚くべきは、それが決して堅苦しい解説映画になっていない点だ。徹底的にエンターテインメントに昇華させ、スリリングなテンポとエスプリの効いたユーモアで観客を引っ張っていく。教養と娯楽が見事に融合した脚本の美しさは、現代の海外ドラマの脚本家たちにも多大な影響を与え続けている。