国民的スーパースターの家庭に生まれながら、なぜ有希氏は頑なに表舞台へ出ないのでしょうか。その背景には、長嶋家という特殊すぎる環境ならではの事情が存在します。
最大の理由は、「過剰な世間の注目から自身を守り、一人の人間として平穏に生きるため」という極めて堅実な選択です。昭和の時代、長嶋邸の周囲には常に報道陣や熱狂的なファンが押し寄せていました。長男の一茂氏が野球選手として父の背中を追い、次女の三奈氏が高校野球取材などで知名度を高める一方、有希氏は幼少期から華美な世界に関心を示さず、学問や自身の趣味、穏やかな日常を愛する性格だったと伝えられています。
また、外交官の家庭に育ち国際感覚豊かだった母・亜希子夫人が「子供たち全員が芸能界やスポーツ界に入る必要はない。自分の望む生き方をしなさい」と個々の主体性を尊重していたことも、彼女の選択を強力に後押ししました。自らの意志で一般社会に身を置くことを決断したからこそ、半世紀近くにわたりブレることなく私生活を守り抜いてきたのです。