原田美枝子のキャリアを決定づけたのは、容姿の美しさ以上に「役に魂を売り渡す」とまで評された凄まじい演技への執念でした。その真価が爆発したのが、長谷川和彦監督の鮮烈なデビュー作『青春の殺人者』(1976年)です。水谷豊演じる親殺しの主人公に寄り添う恋人役を演じきり、当時わずか18歳にしてキネマ旬報主演女優賞をはじめとする主要映画賞を独占しました。
さらに1985年、黒澤明監督の超大作『乱』において、一族を復讐の炎で滅亡へと追い込む冷徹無比な悪女「楓の方」を怪演。喉元に短刀を突きつけながら相手を組み伏せる狂気と美の融合は、世界の映画史に刻まれる名場面となり、海外メディアからも絶賛を浴びました。
そして1998年の平山秀幸監督作『愛を乞うひと』では、凄惨な児童虐待を行う冷酷な母と、トラウマに苦しみながら愛を求める娘の「一人二役」を熱演。第22回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞など、その年の映画賞を総なめにしました。