パートナーシップの構築においても、両国の間には極めて現実的な価値観の隔たりが存在します。恋愛観と結婚観の違いを検証すると、ロマンティシズムを重んじる日本の若年層と、リアリズムと家系存続の合理性を追求する中国の姿が浮かび上がります。
中国の結婚観において伝統的に重視されるのが「門当戸対(もんとうこつい=家柄や経済的背景の釣り合い)」の概念です。近代化が進んだ現在でも、結婚に際して男性側が住居や車を準備することや、「彩礼(ツァイリー=結納金)」を納める慣習は根強く残っています。これは愛情の有無とは別次元で、「家族を養う責任能力の証明」として捉えられているためです。
また、ジェンダー観の構造も異なります。中国では社会主義体制下の歴史的経緯もあり、都市部における女性の正規雇用率が60%以上と極めて高く、共働きが当然の前提です。家計管理や家庭内決定権において女性が極めて強いリーダーシップを発揮する「気妻(恐妻)文化」も定着しており、日本の「控えめな気配り」を求める男性がカルチャーショックを受ける要因となっています。
社会心理学の視点から見ると、家族との「心理的バウンダリー(境界線)」にも差があります。日本人は成人後に親族と一定の心理的距離を置く傾向がありますが、中国人は家族・親族を「自分自身の一部(イングループ)」と見なし、親の意見が結婚生活や住居選定に決定的な影響を与えます。この強固な家族ネットワークを負担と捉えるか、揺るぎないセーフティネットと捉えるかで評価が分かれます。