順風満帆な料理人人生に見える黒木氏ですが、その生い立ちは決して平坦なエリートコースではありませんでした。十代の頃は父親の厳格さや敷かれたレールに激しく反発し、暴走族やロックバンド活動に没頭する荒れた青年期を過ごした経歴を持っています。
転機が訪れたのは18歳の時でした。自身の将来と真剣に向き合った黒木氏は、幼少期から体に染み付いていた「料理の道」で生きることを決意し、単身で上京します。東京での修業時代は過酷を極めました。
名門割烹「割烹 正木」をはじめとする都内の名だたる日本料理店で下積みを経験。朝早くから深夜まで包丁を握り、厳しい師匠のもとで伝統的な日本料理の基礎と応用を徹底的に叩き込まれました。非行に走った過去を取り戻すかのように、人一倍の情熱と集中力で技を吸収していった黒木氏は、メキメキと頭角を現します。
2010年、東京・湯島に「くろぎ」を独立開業。その後、2012年にフジテレビ『アイアンシェフ』にて「和の鉄人(黒鍋の騎士)」に抜擢されたことで、その名は瞬く間に全国へ知れ渡ることとなりました。圧倒的な技術と華やかな存在感で勝利を重ね、若手料理人の旗手としての地位を不動のものにしたのです。