ヒロインのジーナが作中で語る「秘密の賭け」の行方も、多くの視聴者が惹きつけられるエピソードです。ジーナは劇中、客船のテラスでフィオに対し、切ない乙女心を明かしています。
「私がこの庭にいる時、その人が訪ねて来たら、今度こそ愛そうって賭けをしてるの。でもあいつ、夜の店にしか来ないわ」
3人の飛行艇乗りの夫を事故や戦争で亡くしたジーナにとって、幼馴染であるマルコ(ポルコ)は最後の希望でした。しかしポルコは、危険な空の世界に身を置く自分がジーナを縛り付けないよう、あえて昼のプライベートガーデンには近づかず、夜の酒場に客として通い続けていたのです。
この賭けの結末は、映画のエンディングで流れるフィオの後日談モノローグ映像の中に完璧な形で描かれています。上空から映し出される昼下がりのホテル・アドリアーノ。ジーナのプライベートガーデンの桟橋、木陰の奥を注視すると、ポルコの真紅の飛行艇「サボイアS.21」らしき赤い機体が係留されているのが確認できます。
フィオは「ジーナさんの賭けがどうなったかは、私たちだけの秘密」と語りますが、映像表現としての答えは明白です。ポルコはついに昼の庭を訪れ、ジーナの賭けは「勝ち」で幕を閉じました。