犬が生命の終末期を迎える際、生体内では循環器系・呼吸器系・神経系の機能低下が段階的に進行します。動物医療現場のカルテデータおよび緩和ケア専門医の臨床報告によると、犬が亡くなる前の兆候は数週間前から現れる緩やかな変化と、直前24〜48時間で急速に進む変化に大別されます。
多くの飼い主が最初に違和感を覚えるのが「嗜好性の著しい変化と活動量の減退」です。これまで好物だった肉やトリーツを完全に受け付けなくなり、呼びかけに対する耳の動きや尾の反応が鈍くなります。また、睡眠時間が1日の大半(80〜90%以上)を占めるようになり、浅い眠りと覚醒を小刻みに繰り返す傾眠状態へと移行します。
さらに注目すべきは「飼い主への執着パターンの変化」です。普段は独立心の強い個体が片時も離れようとせず激しく甘えてくるケースがある一方、暗く狭い部屋の隅へ隠れようとする行動も見られます。これは野生時代の本能的な自己防衛反応(体調不良時に外敵から身を隠す行動)が背景にあると推察されています。