館内は大きく「本館」と「新館」に分かれており、それぞれ展示テーマや空間デザインが異なります。鑑賞者が絶対に押さえておくべき代表作と見どころを整理します。
東洋陶磁の頂点:国宝「青磁鳳凰耳花入 銘万声」
和泉市久保惣記念美術館が誇る最高峰の至宝が、南宋時代(12〜13世紀)の龍泉窯で作られた国宝「青磁鳳凰耳花入 銘万声(せいじほうおうみみはないれ めいばんせい)」です。砧青磁(きぬたせいじ)特有の深く澄んだ粉青色の釉調、均整の取れた優美な器形、そして左右に配された鳳凰形の耳の造形は、世界に現存する同型花入の中でも最高傑作と評されています。
もう一つの国宝である平安時代の書跡『歌仙歌合(宮内切)』とともに、日本の美意識と中国陶磁の受容史を象徴する圧倒的な名品です。
宮本武蔵の筆跡と重文絵画の数々
絵画分野における白眉は、剣豪・宮本武蔵が描いたとされる重要文化財『枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)』です。無駄を極限まで削ぎ落とした筆線で、一本の枯枝の先にとまるモズの鋭い気迫を描き出した水墨画の傑作であり、美術愛好家から絶大な人気を集めています。そのほかにも『伊勢物語絵巻』や中国青銅器など、教科書級の重要文化財が随所に控えています。
新館の魅力:中国美術と西洋近代絵画の共演
1997年に増設された「新館」は、より洗練された現代的な展示空間です。中国の書画・陶磁器・漆工芸などの体系的な展示に加え、クロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、オーギュスト・ロダンといった西洋近代の巨匠たちによる絵画・彫刻作品も所蔵・展示されており、古今東西の美をシームレスに堪能できる構成となっています。