福岡タワーが「海浜タワー日本一」を名乗れる理由は明確だ。日本の主要タワーのほとんどは内陸部や都心部に建っており、海岸線から直近の距離で234m級の高さを確保している施設は他に存在しない。報道各社の過去の取材データや福岡市の公式アーカイブによれば、福岡タワーの建設目的は単なる観光施設ではなく、1989年に開催されたアジア太平洋博覧会のランドマークとして、福岡の都市力と海との共生を国内外に示すことだった。
当時、福岡市は「シーサイドももち」地区の大規模開発を進めており、その中心核としてタワーが位置づけられた。博多湾に面した人工海浜や高級ホテル、商業施設と一体になった街づくりの象徴として、福岡タワーは“海浜都市・福岡”の広告塔の役割を担ってきた。つまり、高さ234mという数字以上に、「海と都市が隣接する風景を一望できる場所」というコンセプトこそが、このタワーの本質と言える。
なお、福岡タワーの設計は日建設計が手掛けた。三角柱を基本とした構造に、約8000枚のミラーガラスを組み合わせる繊細なデザインは、海風や塩害への耐久性を考慮しつつ、空と海の反射を計算したものだ。こうした設計思想が、完成から35年以上が経過した現在も色褪せない景観美につながっている。