熱海遊覧船サンレモが他の観光船と一線を画す最大の理由は、洋上クルージングとグラスボートのような海中観察が一体化した二重構造にあります。熱海港を出航する前後の停泊中、乗客は階段を降りて船底の「海中展望室」へと向かいます。ガラス張りの水中窓の向こうには、相模湾の豊かな生態系が広がり、イシダイやスズメダイ、メジナといった季節の魚たちが群れをなして泳ぎ回る姿を間近で観察できます。ダイビングやシュノーケリングをせずとも、小さな子どもから高齢者まで安全にリアルな海中世界を体感できる点は、観光客から絶賛されているポイントです。
船が港を離れて外洋へと進み出すと、舞台は開放感あふれるオープンデッキへと移ります。ここでは熱海遊覧船名物の「カモメのエサやり体験」が幕を開けます。船内売店で販売されている専用のスナック菓子(かっぱえびせん等)を手に持ち掲げると、船を追尾して滑空するカモメやウミネコたちが巧みに空中でキャッチしていきます。指先から直接エサを奪っていく鳥たちのスピード感と躍動感は、旅のハイライトとしてSNSでも多くの動画が共有されています。
さらにデッキからは、すり鉢状に広がる熱海の温泉街ホテル群、海上にそびえる熱海城、天候に恵まれた日には初島や伊豆大島、遠く富士山の稜線まで見渡す360度の大パノラマが広がります。波しぶきを肌で感じながら進む約30分間の船旅は、陸上観光だけでは味わえない爽快感をもたらしてくれます。