初会見の直前に撮影され、9月29日の新聞各紙に掲載された並列写真は、日本社会に未曾有の衝撃を与えました。そこには、軍服の開襟シャツでノーネクタイ、両手を腰に当ててゆったりと立つマッカーサーと、宮内省規定の正装であるシルクハット用のモーニングを着用し、極度の緊張のなかで直立する昭和天皇の姿が焼き付けられていました。
視覚的に際立っていたのは、両者の圧倒的な身長差です。マッカーサーの公称身長は約180cm以上、対する昭和天皇は約165cm。約15cm以上の体格差に加え、勝者の傲岸とも取れる寛いだポーズと、敗者の厳格な直立姿勢の対比は、国家の力関係の完全な逆転を残酷なまでに可視化していました。
この写真の公開を巡っては、水面下で激しい攻防が繰り広げられました。当時の日本政府(内務省)は「不敬であり国民感情を害する」として新聞の発売禁止・回収命令を下しました。しかし、GHQは即座にこれを無効化し、言論統制の解除と内閣の干渉排除を命じる覚書を発出。結果として内務大臣の辞任と東久邇宮内閣の総辞職へと発展しました。
マッカーサー側にとって、この写真は「現人神」と崇められていた天皇が一個の人間であり、実質的な最高権力者がGHQであることを国民に知らしめる完璧な政治宣伝(プロパガンダ)でした。しかし皮肉にも、国民の多くはこの写真の天皇の痛々しいまでの真摯さに打たれ、皇室に対する新たな敬愛の念を抱くきっかけにもなったのです。