ネット上の簡易レシピでは「市販のカツオのタタキに食卓塩を振るだけ」と紹介されるケースが散見されますが、これは大きな落とし穴です。一般的な精製塩は塩化ナトリウム純度が99%以上と高すぎるため、カツオの繊細な赤身に対して塩辛さの角が立ちすぎてしまい、生臭さが逆に浮き彫りになってしまいます。
本場の仕上がりを左右する決定的な要素が、鰹の塩たたきに合わせる塩の種類です。高知県黒潮町などで作られる完全天日塩のように、海水中のマグネシウムやカルシウム、カリウムを豊富に含んだ中粒〜大粒の粗塩を使用することが必須条件となります。ミネラルを多く含む塩は、舌に触れた瞬間のアタックがまろやかで、噛み締めるごとにカツオの身の甘みを引き出します。
また、「たたき」という名称から身を強く叩いて味を染み込ませようとする記述も見受けられますが、現代の鮮度が高いカツオにおいては過度な物理的刺激は厳禁です。繊維を破壊してドリップ(水分)を流出させてしまうため、手のひらや包丁の腹で軽く押さえて塩を馴染ませる程度に留めるのが現代の定説です。