怪しい骨董品に警戒が必要な一方で、2026年の古物市場において圧倒的な実用性と安全性を誇り、人気が沸騰しているのがベトナムレトロ雑貨掘り出し物の数々です。特に若い世代の女性やインテリアファンを魅了しているのが、1960〜70年代に南部ビンズオン省などで作られた「オールド・ソンベ焼き(Gốm Lái Thiêu / Sông Bé)」と呼ばれる素朴な日常食器です。
手描きで描かれた雄鶏や魚、素朴な花模様が特徴のソンベ焼きは、窯傷や釉薬のムラ、形の歪みすらも唯一無二の味わいとして評価されています。かつてはベトナム全土の大衆食堂で雑に使われていたものですが、現代の大量生産品にはない温かみがあり、現地のchợ đồ cũでは1枚あたり5万〜15万ドン(約300〜900円)前後という手頃な価格で掘り出せます。また、共産圏特有の力強いグラフィックが施されたヴィンテージのホーロー看板や、サイゴン時代のレトロカフェで使われていたアルミ製カフェ・フィン(コーヒーフィルター)なども確固たる人気を築いています。
さらに注目すべきは、日本の古着ショップや個人セラーが熱視線を送るベトナム古着仕入れルートの存在です。実はベトナムは、隣国カンボジアを経由して欧米や日本から集積された巨大な古着ベール(圧縮梱包)が集まる東南アジア屈指のハブとなっています。
ハノイのドンカイン市場周辺やホーチミンのバンコー市場裏手には、早朝に古着ベールが開梱される通称「バオ(Bao=袋)」と呼ばれる仕入れスポットが存在します。1990年代のUSA製チャンピオンのリバースウィーブや、ヴィンテージバンドTシャツ、ミリタリーのジャングルファティーグジャケットが数ドルから数百円程度で山積みにされ、夜明け前から目利きのローカルバイヤーと外国人セラーによる熾烈な争奪戦が繰り広げられています。