ネット上のまとめ記事やSNS動画では「クリアケースに入れて飾っておけば安心」と語られがちですが、これには致命的な盲点が存在します。実は、密閉度の高いプラスチックケースに飾った缶バッジが、数年後に取り出してみたら裏面一面に赤錆(サビ)や白カビを生じさせていたという悲劇が後を絶ちません。
缶バッジの裏面素材の多くは、スチール(鉄)にスズをメッキした「ブリキ」で構成されています。ブリキは表面のメッキに微細な傷がついたり、人間の指から付着した皮脂や塩分が残っていたりすると、空気中の水分と反応して急速に酸化が進行します。密閉ケースの中に湿気を含んだ空気が閉じ込められた状態で部屋の温度変化にさらされると、内部で微細な結露(マイクロ結露)が発生し、錆の進行を一気に加速させてしまうのです。
後悔しないための缶バッジ錆防止と保管方法には、以下の3つの鉄則が存在します。
- 皮脂の完全除去:開封時やディスプレイセット時には、素手で触らずコットン手袋を着用するか、展示直前にセーム革やマイクロファイバークロスで指紋を完全に拭き取ること。
- シリカゲル(乾燥剤)の潜入:額装やケースの背板裏など、正面の視界に入らないデッドスペースに極小サイズの食品用シリカゲルを仕込み、密閉空間内の湿度を常に40〜50%以下に保つこと。
- 紫外線(UV)の遮断:窓からの直射日光だけでなく、室内の蛍光灯からも微弱な紫外線が放出されており、印刷インクの退色(色あせ)を引き起こします。アクリルケースを選ぶ際はUVカット率90%以上の素材を選ぶか、UVカットフィルムを前面に貼付することが不可欠です。