「皮の表面だけが黒い」と判断できた場合でも、下処理のやり方を間違えると、台所全体にカビの胞子をまき散らす二次汚染(クロスコンタミネーション)を引き起こす。周囲の食器や他の食材、まな板に胞子を移さないための、プロが推奨する下処理手順を厳守してほしい。
第一の鉄則は、「いきなり強い勢いの水道水で流さないこと」だ。乾いた状態の黒カビに勢いよく水を当てると、水しぶきとともに微細な胞子が跳ね返り、シンク周りや水切りカゴの食器に飛び散ってしまう。まず作業スペースに新聞紙やキッチンペーパーを敷き、その上で乾燥した茶色い外皮を静かに手で剥ぎ取る。黒い粉を抱き込んだ皮は、ペーパーごと包み込んでそのままゴミ箱へ密閉処理する。
第二に、皮を剥いた白い可食部を洗う際は、「ボウルに張った水の中で揺すり洗いするか、弱めの水流で指の腹を使って優しく撫で洗いする」のが正解だ。表面に付着したごくわずかな黒ずみは、この水洗いで完全に落ちる。もし表面のぬめりや微細な黒点が残るようであれば、無理に擦らず、包丁で外側の層をもう1枚思い切って剥がしてしまうのが最も衛生的で確実な手段となる。
洗い終わった後の玉ねぎは、清潔なペーパータオルで水分を徹底的に拭き取る。カビは水分が大好物であるため、濡れたまま放置すれば数時間で再び菌の温床となるからだ。また、調理に使用したまな板と包丁は、使用後すぐに通常の食器用洗剤で洗浄し、熱湯を回しかけるかアルコールスプレーで消毒を済ませておくことが、家族の健康を守る確実な防壁となる。