ネット上のレシピや家庭の伝承において長年論争が続いてきたのが、「水から茹でるのか、それとも熱湯から茹でるのか」という対立です。この論争に対する現代の結論は明確に下されています。失敗なく美しいゆで卵を作るなら「熱湯スタート」が圧倒的に有利です。
水から茹でる手法には、「卵が急激な温度変化で割れにくい」という一定のメリットがありました。しかし、鍋の水量、鍋の材質、コンロの火力によって「水が沸騰するまでの時間」が3分〜8分と大きく変動します。この沸騰までのブレが、黄身の火の通り具合に致命的な誤差を生じさせていたのです。
一方の熱湯スタートは、100℃に達した定常状態からカウントを開始するため、調理時間の再現性が極めて高いという利点があります。さらに決定的なのが殻剥きの容易さです。急激な熱ショック(ヒートショック)を与えることで、外側の白身タンパク質が一気に収縮し、卵殻膜(薄皮)から離れる現象が起きます。水から徐々に加熱すると、白身がゆっくり凝固する過程で膜の繊維にタンパク質が絡みつき、剥きにくくなってしまうのです。