近年、DIYブームや整理収納術の流行に伴い、ネオジム磁石は100円ショップで手軽にまとめ買いできる身近な存在となった。しかし、その手軽さの裏で深刻な事故が多発している現実は見逃せない。
消費者庁や国民生活センターが公表している事故事例集によると、強力磁石を取り扱う際の代表的な事故事例として「指の皮膚を強烈に挟み込まれ、血豆や皮膚の裂傷を負った」「勢いよく吸着した際に磁石が粉々に砕け散り、破片が目に入りそうになった」という現場報告が毎年多数寄せられている。
SNSや知恵袋の投稿を分析しても、利用者の生々しい悲鳴が確認できる。
「100均の強力磁石を2個近づけたら一瞬でバチンと合体し、人差し指の腹を挟まれて激痛で涙が出た。力ではびくともせず、血が止まるかと思った」
「冷蔵庫に貼ったフック付きマグネットを引っ張ったら、フックの根元が折れて磁石本体だけが取り残された。爪で剥がそうとして爪が割れた」
万が一、磁石で指を挟んだ時の応急処置についても冷静なプロトコルを知っておく必要がある。指が挟まれた状態でパニックになり、無理やり真上に引き抜こうとすると皮膚組織が引きちぎれ、内出血や皮下血腫を悪化させる。正しい対処法は以下の通りだ。
- 慌てて引かない:痛みに耐えつつ、磁石をゆっくりと横方向に滑らせて皮膚から逃がす。
- 隙間を作る:もう片方の手で、磁石の隙間にスプーンの柄やカードなどを素早く押し込み、圧迫を解除する。
- 患部のアイシング:磁石が外れた直後は速やかに流水や保冷剤で患部を15〜20分間冷却し、腫れと内出血の広がりを抑える。
指の変色や激しい痛みが引かない場合、あるいは爪の下に広範囲な内出血が見られる場合は、骨折や腱の損傷の恐れがあるため、迷わず整形外科を受診しなければならない。