カロリーと体重は関係ない?制限しても痩せない噂の真相と体の科学

カロリーと体重は関係ない?制限しても痩せない噂の真相と体の科学

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体重の増減において最も決定的な役割を担うのは、カロリーの数値そのものではなく、食後に分泌されるホルモン、とりわけインスリンの動態です。肥満治療の最前線で活動する内科医や専門家が強調するように、糖質を摂取して血糖値が急上昇すると、膵臓からインスリンが大量に分泌されます。インスリンは血中の余剰グルコースを中性脂肪として脂肪組織に蓄えさせる「同化ホルモン」であり、同時に脂肪分解酵素の働きを強力に阻害します。

同一の500kcalであっても、精製糖類を多く含む清涼飲料水や菓子パンを摂取した場合と、食物繊維や良質な脂質を含むサーモンとブロッコリーを摂取した場合では、体内のホルモンカスケードは正反対の反応を示します。前者はインスリンの急上昇によって即座に脂肪蓄積モードへとシフトし、数時間後には急激な低血糖によって強烈な空腹感を引き起こします。一方、後者は血糖値を安定させ、満腹ホルモンであるペプチドYYやコレシストキニンの分泌を促します。

さらに、過度な制限を課すことでホルモンバランスは激変します。食欲を抑制するレプチンが減少し、食欲を刺激するグレリンが急増するため、脳は常に「飢餓状態」と判定します。このホルモン環境下では、いくら摂取カロリーを抑え込んでも、体は脂肪を頑なに手放そうとせず、むしろ筋肉を分解してエネルギーを捻出しようとします。「カロリー神話」に囚われ続ける限り、ホルモンによる脂肪ロックを解除することはできません。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。