館内に足を踏み入れて真っ先に目を奪われるのは、鮮やかな赤と橙色に彩られた復元機「ミス・ビードル号」の雄姿だ。1931年10月、クライド・パンボーンとヒュー・ハーンドン両飛行士は、ここ三沢の淋代海岸を飛び立ち、41時間13分をかけて米国ワシントン州ウェナッチまでの約8,400キロを無着陸で駆け抜けた。燃料を少しでも節約するため、離陸直後に車輪を投げ捨てて飛んだという狂気にも似た挑戦の軌跡が、精巧な模型や当時の貴重な資料とともに詳述されている。
この大偉業は、単なる過去の栄光ではない。三沢市とウェナッチ市を結ぶ姉妹都市交流の礎となり、今なお民間草の根外交の象徴として輝きを放つ。展示を食い入るように見つめていた地元のアマチュア歴史家は、「命を賭して太平洋を越えた先人たちの情熱が、この展示室には息づいている。ここで歴史に触れるたび、人間が持つ可能性の大きさに身震いがする」と胸を打たれた表情で語った。