高橋名人の名を不滅のものにしたのが、1秒間にボタンを16回叩く「16連射」の超絶技巧です。『スターソルジャー』や『スターフォース』でのデモンストレーションは当時の子どもたちを釘付けにし、自ら主役を務めたアクションゲーム『高橋名人の冒険島』はミリオンセラーを記録しました。
ライバル関係として演出された毛利名人との対決を描いた映画『GAME KING 高橋名人VS毛利名人 激突! 大決戦』(1986年)は、映画館に長蛇の列を作る社会現象へと発展。名人のトレードマークであるキャップとTシャツ姿は、昭和後期のポップカルチャーの象徴となりました。
その凄まじい熱狂の裏で発生したのが、今なお語り継がれる「高橋名人 逮捕デマ事件」です。1986年秋、「高橋名人が警察に逮捕された」「指にバネを仕込んでいた詐欺だった」という根拠のない噂が全国の小中学生の間で爆発的に拡散しました。
実際には警察署での広報イベントに協力していた際の様子が歪められて伝わったものですが、警察署に「本当に高橋名人は捕まったのか」と問い合わせが殺到するほどの騒動となりました。この一件は、ネット社会以前の日本における「最大の都市伝説」の一つとしてメディア史に刻まれています。