羽交い締めと混同されやすい代表例が、プロレスやアマチュアレスリングで用いられるネルソンホールド(特にフルネルソン=ダブルネルソン)です。両者は外見こそ似通っていますが、身体に加わる力学構造と技の目的において明確な違いが存在します。
フルネルソンは、相手の脇の下から差し入れた両手を相手の後頭部(頸部)で組み、テコの原理を利用して頸椎を前方に強く屈曲させる拷問・関節技です。一方、日本古来の羽交い締めや治安維持機関で用いられる制圧ホールドは、肩関節の可動域を制限し、上半身を密着させて相手の重心をコントロールすることを主眼としています。
実際に警察の逮捕術や警備現場における制圧術では、相手を負傷させずに無力化することが最優先されます。単独で力任せに抱え込むのではなく、二人一組で左右の腕を分担して関節を制圧する技術体系が確立されており、首への過度な圧迫を避ける訓練が徹底されています。