一見シンプルで効果的に見えるプールの氷投入ですが、施設運営側の裏側には一般にはあまり知られていない多くの技術的ハードルとコストが存在します。
誤解1:どんな氷でも適当に入れれば良いという勘違い
家庭用の製氷機で作った氷や、不純物を含んだ氷を大量に投入すると、プールの水質基準が瞬く間に崩壊します。リゾートホテルや公共施設で使用される氷は、食品衛生基準を満たした純度の高い純氷(ブロック氷)や、塩素消毒された専用の氷でなければなりません。不純物が混入すると、遊離残留塩素が一気に消費され、濁りや細菌繁殖の原因となります。
誤解2:氷を入れれば水質が薄まって安全になる?
大量の氷が溶けると、プールの総水量が増加し、厳格に管理されている遊離残留塩素濃度(0.4〜1.0mg/L)が急激に低下します。そのため、施設管理者は氷投入の直前・直後に綿密な水質検査を実施し、塩素剤の追加投入やpH調整を行っています。華やかなイベントの裏には、水質管理責任者による綿密な計算と安全管理の努力が隠されているのです。