世間に大きな衝撃を与えた不祥事の全容が明らかになったのは、2023年11月28日のことでした。鳥取市に本社を置く日本テレビ系列局「日本海テレビ」が緊急記者会見を開き、同社の元経営情報局次長(当時53歳)が長年にわたり寄付金や会社資金を着服していた事実を公表しました。
公式発表資料によると、着服が行われていた期間は2014年から2023年までの約10年間におよびます。被害総額は1,118万2,574円に達し、その内訳は以下の通りです。
- 『24時間テレビ』チャリティー募金:264万6,020円
- 日本海テレビの売上金・運転資金等の社費:853万6,554円
社会的にとりわけ強い非難を浴びたのが、寄付金横領の手口でした。元局長は番組終了後に社屋内の金庫に一時保管されていた善意の募金から、定期的に現金を抜き取っていました。当時、チャリティー募金の集計や金庫の施錠管理は一部の担当者に一任されており、複数人による相互チェックが形骸化していました。監視カメラの死角や施錠の管理権限を悪用し、封筒や集計袋から現金を抜き取って自身のカバンに滑り込ませる行為を、誰にも気づかれることなく繰り返していたのです。
着服した現金の使途について、元局長は社内調査に対し「パチンコやスロット、競馬などのギャンブル、ならびに私的な飲食代に使った」と供述しました。病気の治療や生活困窮といった情状酌量の余地はなく、純然たる私利私欲のために善意の結晶が消費されていました。
長期間に及ぶ犯行が露見したきっかけは、内部告発ではなく税務調査でした。2023年11月、税務署の指摘によって会社の使途不明金が浮上。社内調査で追及を受けた元局長が横領を認め、あわせて『24時間テレビ』の募金にも手を付けていたことを自白したことで、前代未聞の不正が明るみに出ました。