かつての下大利を知る人なら、線路の東西を阻んでいた重苦しい渋滞を鮮明に覚えているはずだ。「開かずの踏切」は車列を止め、歩行者を焦らせ、街の動線を物理的にも心理的にも分断していた。
その壁が完全に消え去った。南北に伸びる高架橋の下には風が通り、見通しの良いフラットな空間が広がる。東口と西口の心理的距離はゼロになった。線路を挟んで別々の生活圏を形成していたコミュニティが自然に混ざり合い、人の回遊性が目に見えて向上している。ベビーカーを押す母親や、下校途中の学生がストレスなく行き交う風景。それは単なる土木工事の成果を超え、街全体の血流が劇的に改善した証拠だ。