唇のボリュームにコンプレックスを抱える人の多くは「唇の皮膚や粘膜自体が人より分厚い」と思い込みがちです。ところが歯科医療の現場では、上顎前突(いわゆる出っ歯)がたらこ唇の主原因になっている症例が頻繁に見受けられます。
口元の構造はテントに似ています。テントの支柱(前歯や顎の骨)が前方に強く突き出していれば、上に被さる布(唇)は外側へ引っ張られ、ピンと張った状態になります。前歯が前方に傾斜していると、唇の裏側にある粘膜が外側に押し出されて「めくれ上がった状態(外反)」になり、結果として正面からも横からも唇がポッテリと分厚く見えてしまうわけです。
さらに、出っ歯によって上下の唇が自然に閉じにくくなる「口唇閉鎖不全」を起こすと、無意識に唇を突き出す癖がついたり、下唇が前歯の下に入り込んで外へめくれたりします。これが、いわゆる口ゴボとたらこ唇が同時に併発する根本的な理由です。