オーディションの最終選考には、第一線で活躍するトップ声優から新人まで300名以上がエントリーした。選考基準は単に「歌がうまい」ことではない。聴いた人間の感情を揺さぶり、理性を奪う「セイレーンらしさ」を声だけで体現できるかどうかが問われた。
審査員席に座っていた音響監督は、彼女がマイクの前に立った瞬間の空調の音すら消え去るような緊張感を今でも鮮明に覚えているという。「第一声を発した瞬間、鳥肌が立った。音符を超えた“ナマの叫び”と“透明感”が同居していた」と振り返る。飾らない素の演技と、計算し尽くされた歌唱技術の融合が審査員の心を鷲掴みにした。